大阪府吹田市の動物病院です。ペットの悩みから飼い方まで地域のホームドクターとしてあり続けます。一般診療から眼科、皮膚科診療も行います。駐車場完備(休診日:水曜)

シェル動物病院:大阪府吹田市五月が丘の動物病院|大阪・吹田・千里・南千里です。
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ワンちゃんのノミ・マダニの予防

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ワンちゃんのノミが原因となる病気

1.ストレス

ノミに刺されることによる痒みはワンちゃんにとってもかなりのストレスになります。中には痒みから満足に寝ることもできずに睡眠不足になったり、ストレスから体調を崩してしまう子もいます。

2.皮膚炎

ノミがワンちゃんの体に寄生すると、激しい痒みのために引っ掻いたり噛んだりして、その時できた傷口から細菌などが感染して皮膚炎を起こします。

また、ノミの唾液に含まれる物質によってアレルギーを起こすことがあり(ノミアレルギー性皮膚炎)、さらに激しい痒みと、背中からシッポの付け根にかけて脱毛し茶色のブツブツが特徴です。ノミに対してアレルギーを持っている子はノミが1匹でも寄生しただけでノミアレルギー性皮膚炎を起こしますので、しっかりと予防してあげることが必要です。ノミは人も刺すことがあり、激しい痒みや発疹を起こすことも少なくありません。

3.貧血

ノミは動物の血液を吸って栄養を得て、産卵を繰り返しています。大量のノミが寄生すると吸血によって貧血になることがあります。

4.瓜実条虫「うりざねじょうちゅう」(消化管内寄生虫)の媒介

ノミの吸血によって感染はしませんが、痒みのために皮膚を噛んだり舐めたりしたときに一緒にノミも食べてしまうことがあります。それによってノミの体内にいる条虫の卵がワンちゃんに感染します。瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は検便検査では見つけにくく、肛門周囲に白い米粒状のものが動いていたり、ワンちゃんが座っていたところに白いゴマのようなものが落ちているのを見ることで発見されます。

また、この瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は人にも感染することがあります。

ワンちゃんのマダニが原因となる病気

1.貧血

マダニは自分の体重の100倍以上の血液を吸血します。そのため、大量にマダニが寄生すると貧血を起こすことがあります。

2.アレルギー性皮膚炎

マダニの唾液に含まれる物質によってアレルギーを起こすことがあります。それによって皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)を起こします。

3.バベシア症

バベシア症とは血液中の赤血球にバベシア属の原虫が寄生することにより起こる病気でマダニがその原虫を媒介しており、マダニの吸血時に動物の体内に感染します。日本では犬のバベシア症が一般的で、主に西日本を中心に認められています。

主な症状は貧血、発熱、食欲不振、元気消失、黄疸、血色素尿で、重度の場合は数日で死にいたることもあります。治療は非常に困難で完治が望めない場合もあります。猫に寄生するバベシア属の原虫もいますが、現在のところ日本での発生はまだ認められていません。

4.ライム病

スピロヘータのボレリア菌の感染が原因で起こる病気で、病原体を持つマダニに吸血されたときに動物の体内に入り感染します。北海道で多く報告されていますが、関西でも報告されています。症状は発熱や全身性麻痺、起立不能、歩行異常がみられます。この病気は人も感染する人畜共通伝染病の1つです。

5.ヘパトゾーン

犬に見られる病気で、Hepatozoon Canisという病原体が原因です。一般にこの病原体を持ったマダニを犬が食べることで感染すると言われています。症状は発熱と衰弱のほか、貧血、下痢、食欲不振、歩行異常、目やに、鼻汁などが認められます。九州地方で比較的多く報告されています。

6.その他

その他、マダニ介在性疾患としてQ熱、ダニ介在性脳炎、日本紅斑熱が近年人において報告されています。

ワンちゃんのノミ・マダニ駆除・予防方法

ノミやマダニの駆除の原則は、まず成虫を駆除することです。

成虫に対するお薬にはスポットタイプやスプレー、首輪などいくつかのタイプがありますが、それぞれ効果や使用方法、注意点などに違いがありますので獣医師に相談してその子にあった方法を選択するのがいいと思います。

ノミの場合、いったん成虫を駆除してもじゅうたんや畳の中、部屋の隅など周囲の環境中にはノミの卵や幼虫、さなぎがたくさん存在しています。やがては、これらの予備軍が成長して成虫となり、再びワンちゃんに寄生してしまいます。したがって、再び寄生されないように継続して予防することと成虫だけでなく環境中の『ノミ予備軍』の対策も合わせて行うことが大切です。スポットタイプには成虫のお薬と卵や幼虫の発育を阻止するお薬の両方が入ったものもあります。掃除機をこまめにかけるだけでもすいぶんと違うようです。また、天気のいい日にはワンちゃんが愛用している敷物やクッションを干すのも効果的な方法です。現在、部屋の中ではエアコンや加湿器の影響で一年中繁殖が可能で一年を通して駆除・予防が必要です。

マダニの成虫は皮膚に喰い付いて寄生していますので、見つけたときはむやみに引っ張ると皮膚の中にマダニの頭が残ってしまい化膿することがありますので、うまく取れないときは動物病院で取ってもらうようにしましょう。マダニの中には寒い冬にも活動する種類もいます。ノミと合わせて一年を通して予防するようにしましょう。

ワンちゃんのノミ・マダニの総合的な対策

ワンちゃんの確実なノミ・マダニ対策を行うために、以下の5点を考慮する必要があると思います。

  1. 動物に対して安全であること
  2. 確実かつ即効性があること
  3. 再寄生しないように持続性のあること
  4. 吸血を必要とせず作用すること・・・
    ノミアレルギー性皮膚炎やノミ・マダニ媒介性疾患は吸血により起こりますので、吸血を必要としない、つまり吸血される前に駆除することは非常に大切なことです。
  5. 生活環境中にいる卵や幼虫などの『予備軍』も考慮されていること

複数の製剤を併用して上記5点を満たすことも可能ですが、現在ではノミの成虫とマダニの両方を駆除でき、なおかつ卵や幼虫の成長も抑制する成分が入っている製剤(フロントライン・プラス)があり、これを予防的・定期的に使用するのが最も良いと思います。このフロントライン・プラスは、皮膚に薬剤を滴下するスポットタイプで、ワンちゃんもほとんど嫌がりませんし、使いやすく、哺乳類には作用しませんので非常に安全性が高く安心して使用できます。また、シャンプーしてもしっかりと効果は持続しますし、なおかつノミやマダニの吸血を必要とせず駆除できますので、吸血によって起こるノミアレルギーやノミ・マダニ媒介性疾患に感染することもなくなります。

ノミ・マダニ駆除剤にはこの製剤以外にも他のスポットタイプやスプレー、首輪など様々なタイプがありますので、獣医師と相談してその子にあった方法を選択するのがいいと思います。

【補足】 市販のノミ取り薬で効かなかった経験はありませんか?

現在、薬局やペットショップなどでもスポットタイプをはじめ首輪など色々なノミ・ダニ駆除剤が販売されていますが、これらは動物医薬部外品で動物病院で扱っている動物医薬品とは成分・効果・安全性などが異なります。

どちらを使用するかは最終的に飼い主さんの判断になりますが、確実に早く駆除するには病院で薬を処方してもらうのがいいと思います。