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シェル動物病院:大阪府吹田市五月が丘の動物病院|大阪・吹田・千里・南千里です。
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ネコちゃんのフィラリア症

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ネコちゃんにもフィラリア症があるの?

フィラリア症とは、心臓や心臓のすぐ近くの肺動脈に犬糸状虫(フィラリア)と呼ばれる虫が寄生する病気で、これまでは犬(ワン)ちゃんの病気とされていました。

しかし最近の研究によって犬(ワン)ちゃんだけでなくネコちゃんにもある程度の率で感染していることがわかってきました。

これまで、ネコちゃんのフィラリア感染があまり注目されなかったのは、診断法が難しく、発見が困難なためです。

犬(ワン)ちゃんのフィラリア感染率が高い地域では、ネコちゃんの感染率も高くなります。

本来、フィラリアは犬(ワン)ちゃんに寄生する虫なので、ネコちゃんに寄生する確率は低いのですが、全くないわけではなく、ネコちゃんでの寄生率は1~4%です。しかし、ネコちゃんはフィラリアの子虫や成虫に対する生体内組織反応が強く現れるため、わずか数匹の寄生でも死んでしまうこともある怖い病気です。

ネコちゃんがフィラリアに感染すると?

ネコちゃんは犬(ワン)ちゃんとは異なり、猫特有の免疫反応により主に肺に病変を形成し呼吸器障害を起こすことが多いです。

主にしつこい咳や嘔吐、呼吸困難などの症状がみられますが、中には突然食欲元気をなくし、急死する急性症状も多くみられます。

また、血液の巡りが悪くなることから肝臓や腎臓に障害が出ることもあります。その他、ネコちゃんでは、まれに脳に寄生して神経症状を示すこともあります。

ネコちゃんにはフィラリア症特有の症状というものがなく、何らかの症状が出たときには、かなり障害が進んでしまっている場合がほとんどです。

ネコちゃんのフィラリアの予防方法はあるの?

ネコちゃんはフィラリア症に特徴的な症状がなく、また寄生数が少ないことや、終宿主ではないために成虫になっても性成熟が不完全な成虫が多く、ネコちゃんの血液中に子虫(ミクロフィラリア)が現れることがほとんどありません。

そのため、フィラリア成虫の抗原検査やミクロフィラリア検査でも検出不能のことが多く、生前の診断が非常に難しい病気の1つです。また、例え診断できても、現在、安全で有効な治療法がありません。

現在、ネコちゃん用のフィラリア予防薬として毎月1回飲ませるタイプと、皮膚に滴下するスポットタイプもあります。これらの予防薬は、予防率が100%ですし、ネコちゃんのフィラリア症にとって現状一番安全で確実な対策法となります。

ただ、ネコちゃんの感染率は1~4%と低いそのため、ネコちゃんに対する予防薬の投与については獣医師の中でも意見が分かれていますが、感染した場合は有効な治療法がなく、急激な症状を示して死に至ることも多いため、現時点では、やはり蚊の多い地域やフィラリア症の犬(ワン)ちゃんが多い地域では、予防をしてあげる方が良いと考えられています。

ネコちゃんのフィラリアの予防期間は?

フィラリア予防期間は蚊が発生しはじめた次の月から蚊が見られなくなった次の月まで(確実に予防するためには、大阪では5月から12月までフィラリアの予防薬を投与)です。まず、知って欲しいのはフィラリアの予防薬の効き方です。

蚊の吸血により犬(ワン)ちゃんやネコちゃんの体に侵入した感染幼虫は約1~2ヶ月間は皮下や筋肉内でとどまり何度か脱皮をして約2cm程の大きさにまで成長した後、血管内に侵入して心臓や肺動脈に住み着き、成虫にまで成長するのですが、フィラリアの予防薬はこの皮下や筋肉内にいる少し成長した幼虫を駆除することでフィラリア症を予防するお薬です。

つまり、投与後1ヶ月間効果が持続してフィラリアの感染を防いだり、蚊に刺されないようにするお薬ではなく、投与した時点で犬(ワン)ちゃんやネコちゃんの皮下や筋肉内でとどまっている幼虫(感染後1~2ヶ月までの幼虫)を血管内に侵入する前に駆除することでフィラリア症を予防しています。そのため蚊が見られなくなった翌月まで投与しないとフィラリアに感染してしまう可能性があります。また、幼虫が血管内に入ってしまうと予防薬の効果は得られなくなってしまいますので、途中で投与を忘れたり、やめてしまうとそれまでの予防が無駄になってしまうこともありますので予防期間の間はしっかりと投与してあげましょう。

蚊の体内でフィラリアの子虫が感染可能な幼虫に発育するためには、ある程度平均気温が上昇した状態が続くことが必要となります。現在フィラリア感染期間を知る方法として、毎日の最高気温と最低気温からHDUという値が計算され、そのHDUを用いてフィラリア感染可能期間が算出されています。

このHDUにより算出された大阪府のフィラリア感染期間の過去10年間のデータによると、

  • もっとも早い感染開始日は、4月29日
  • もっとも遅い感染終了日は、11月13日

です。したがって確実に予防するためには、大阪では5月から12月までフィラリアの予防薬を投与する必要があります。

HDU(Heartwarm Development heat Unit)

フィラリアを媒介する蚊の体内で、フィラリアの子虫が感染幼虫に発育するために必要な積算温度の単位。現在、この数値から全国各地のフィラリアの感染期間が算出されています。

当院では、春のフィラリアの血液検査の時に一緒に、まずは内臓系や内分泌疾患などを調べるための血液検査を勧めています。

身体検査や血液検査で異常が見られた場合は、さらに詳しく調べるための尿検査、レントゲン検査などを行っていきます。